日本海学とは
日本海学について
1.定 義
日本海学は、日本海とその周辺および関連地域全体を、生命の源である海を共有する一つのまとまりとしてとらえ、海との関わりを軸にその自然・文化・歴史・経済などを総合的に研究し、新たな領域を創成するとともに、地域間の交流を促進し生命の輝きが増す未来を構想する取り組みです。
2.発想の原点とめざすもの
富山県では、「環日本海・東アジア諸国図」(通称:逆さ地図)を作成しています。この逆さ地図を見ると、日本海が大きな湖のように見え、日本は島国ではなく、大陸や朝鮮半島とつながっているように感じられます。
実際、この地域では、遠い昔から海を越えた人の交流があったといわれています。例えば、すでに縄文時代の人たちは、大木をくりぬいた丸木舟で日本海を航海し、かなり遠方の人々とヒスイの装飾品などの交易をしていたことが知られています。さらに江戸時代には、蝦夷地から薩摩、琉球、さらに中国へと通ずる日本海の大交易ルートが確立され、高々と帆を上げる大きな船で、米や酒のほか昆布、薬種などの取引が行われていました。
また、この地域は、森や海をはじめとする豊かな自然に恵まれています。例えば、日本列島のほぼ中央に位置する富山には、標高3000mの立山連峰から水深1000mの富山湾へ一気に駆け下りる世界有数の地形があります。この高度差4000mの空間において、森と海を結ぶ水の大循環が様々な生き物を育み人々は、古くから魚や米をはじめとした豊かな自然の恵みを享受してきました。
こうしてみると、この地域は、人の交流であれ自然環境であれ、日本海を抜きにしては語れないことが分かってきます。言い換えれば、命の源である海によって人と人、人と自然がつながっている・・・このことを非常に理解しやすい地域なのです。しかし私たちは、はたして日本海のことをどこまで知っているでしょうか。
そこで、まず日本海について知ること、これが日本海学の出発点となります。そして日本海とその周辺および関連地域全体を、海を共有する一つのまとまりとしてとらえ、海との関わりを軸にその自然・文化・歴史・経済などを総合的に研究し、新たな領域を創成するとともに、地域間の交流を促進し生命の輝きが増す未来を模索します。さらに、こうして得られた知識をもとに、21世紀に私たちが直面する地球規模の課題に対処する実践的な知恵を提示することをめざします。つまり、日本海学とは、海からの目線で地域への理解を深めながら、地球全体の将来を展望する取組みなのです。
3.研 究 分 野
大項目 | 学問テーマ | |
環日本海の自然環境 | 環日本海の環境変遷と予測 | →解説 |
環日本海の交流 | 交流を生んだ要因 | →解説 |
交流の形態 | →解説 | |
環日本海の文化 | 環日本海民族の文化 | →解説 |
海の思想、信仰 | →解説 | |
環日本海の危機と共生 | 日本海環境をめぐる危機 | →解説 |
日本海との共生 | →解説 | |
海をはさんだ共生 | →解説 |
4.主 な 事 業
1.会議 |
日本海学の事業計画や具体的な研究の進め方、推進機構の将来構想などについて、運営委員、専門委員に議論・助言してもらいます。 |
2.シンポジウム、講座 |
日本海学のシンポジウムや講座などのイベントを開催して、皆さんに日本海や環日本海に関する理解を深めてもらいます。講座の中には野外で行うものもあります。 |
3.大学との連携事業 |
日本海学の講座を開こうとする大学に対して、カリキュラムの作成や講師の紹介・斡旋などの協力を行います。 |
4.出版等事業 |
日本海学を研究調査した成果を、本やホームページで公開します。 |
5.研究助成事業 |
研究機関や研究者個人、グループに対して助成を行います。 |
5.推 進 体 制
富山県は、学術交流、環日本海地域の環境問題への国際貢献等だけでなく、国際的な知的ネットワークを形成し、学術交流の拠点となることを目指しています。このことから富山県は、公益財団法人とやま国際センターの中に「日本海学推進機構」を置き、日本海学を支援しています。