富山湾の七不思議
その5・ホタルイカ
夜の海に青い神秘的な光を放つホタルイカ。胴長約4〜6cmの小さな体全体に約700〜1000個もの発光器をもっています。この発光器は、外敵から身を守るための目くらましや、仲間同士の合図として利用されると考えられています。
ふだんは富山湾の水深200m以上の深海にすんでおり、春になると産卵のため、海岸近くまで集まってきます。ときには波打ちぎわに打ち上げられることもあり、地元では「ホタルイカの身投げ」といって、富山湾の東側の海岸一帯で見られます。
このように、ホタルイカが何千何万もの群れで押しよせる海岸は世界でもめずらしいことです。
ホタルイカの身投げ(富山県滑川市)
その6・オオグチボヤ
クラゲのようにすきとおった体に、ぽっかり口を開けたようなすがた。不思議な形をしたこの生きものは「オオグチボヤ」といい、2000年に富山湾でおこなわれた潜水(せんすい)調査船「しんかい2000」で、たくさんのオオグチボヤが集まる群生地(コロニー)が日本近海で初めて観測されました。
オオグチボヤという名前の通り、大きな口のように見える入水孔(にゅうすいとう)から海水を取りこみ、そこに含まれるプランクトンなどをとりこみ、頭のてんぺんにある穴から海水をはき出しているようです。
大きなものは体長30cm以上あり、水深300m以上の深海にすんでいます。どうして富山湾にすんでいるのか?どんな生態なのか?まだまだナゾの多い生きものです。
富山湾の深海で発見されたオオグチボヤ
その7・ヒスイ海岸
富山と新潟の県境にある宮崎地区から境地区にいたる約4kmの海岸は、ヒスイの原石が打ち上げられることから、別名「ヒスイ海岸」とよばれています。
ヒスイは古代の人も大切にした宝石の一種です。宮崎・境海岸の浜山玉つくり遺跡(いせき)でつくられた勾玉(まがたま)は、日本では東北から九州地方におよぶ広い範囲に運ばれて各地の権力者の胸をかざったほか、対岸の国との交易品であったともいわれています。
日本の海岸でヒスイの原石が打ち上げられる場所は、この宮崎・境海岸と東の糸魚川につながる海岸のごく限られた場所だけです。日本海にしずむ夕日が見えるサンセット・ビーチでもあり、ヒスイ色の海岸が夕日にきらめく美しい光景も見ることができます。