今も残る回船問屋

北前船は、近世の日本で「海の大動脈(だいどうみゃく)」として大きな役割をになってきました。北前船が立ち寄った港は、各地からの船荷の積みおろしで活気づき、周辺には回船問屋や倉庫・宿などが立ち並び、たいそうなにぎわいをみせました。
また、北前船を通じて食文化や祭り、民謡などが日本海沿岸各地に伝りました。しかし、明治時代になると、蒸気の力を動力とした汽船(きせん)や鉄道の発達により、北前船はそのいきおいを急速に失っていきました。
富山県の伏木(ふしき)、新湊(しんみなと)、岩瀬(いわせ)地区は、かつて、北前船の寄港地(きこうち)として栄えた歴史ある港町です。昔の回船問屋の建物には、鹿児島県の屋久杉(やくすぎ)の板戸、能登半島の黒松のはり、土間には瀬戸内海の小豆島(しょうどしま)の一枚岩、いろりにはロシアの琥珀(こはく:光沢材)など各地の品が使われています。そのごうかさに、かつての繁栄(はんえい)ぶりをうかがい知ることができます。

ここは古い港町みたいだね。 北前船は物資のほかにもいろいろ運んだんだよ。

北前船回船問屋・森家跡

北前船回船問屋・森家跡